近年、無計画な森林伐採や違法伐採により世界の森林面積は減少し続け、毎年日本の国土の約3分の1に相当する森林が破壊されているといわれています。この現状を踏まえ、森林減少を抑制するために生まれたのがFSC森林認証制度です。

サスティナビリティ(持続可能性)という考え方

「サステナビリティ」(sustainability)とは、「持続可能性」または「持続することができる」という意味です。企業においては「利益だけではなく社会的責任を果たすことによって、将来も事業を存続できる」という意味で用いられます。

紙の利用においてもサステナブルな観点を取り入れ、適切な原料から生産された製品を利用することで地球環境に配慮した「持続可能な事業」を展開することが求められています。

国連による持続可能な開発目標SDGs(Sustainable Deveropment Goals)

2015年の9月25日から27日、ニューヨーク国連本部において「国連持続可能な開発サミット」が開催されました。その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が発表されました。そこでは人間及び地球の繁栄のための行動計画として「17」の目標がかかげられています。

 

「持続可能な開発」は現在、環境保全についての基本的な共通理念として国際的に広く認識されており、「環境」と「開発」を互いに反するものではなく共存し得るものとしてとらえ、環境保全を考慮した節度ある開発が可能であり重要であるという考えに基づいています。
このように、サステナブルという考え方は開発目標の中心となっており、そのための取り組みは積極的に推進されています。

国連で採択された持続可能な開発のための2030年までの目標(SDGs)
国際連合広報センターから抜粋

紙製品の環境配慮と持続可能性

紙のリサイクルは資源の有効利用に繋がり、環境配慮として世の中に広く浸透しています。しかし、リサイクルをするためには印刷に使ったインクを落とし、漂白を繰り返すなど多くのエネルギーを必要とします。なおかつリサイクルできる回数にも限度があり、バージンパルプ※由来のものと、質的にも異なります。
※バージンパルプ… 木材を材料にして製造した新しいパルプのこと。

持続可能な紙利用のために

バージンパルプの使用が欠かせない中、紙を選択する際にそれが適切な管理のもと生産されたものなのか見た目では分かりません。持続可能な紙利用のためには、森林を適切に管理している業者から木材を調達し利用することが重要であることから、FSC認証製品を選択する企業が増えています。

FSCマークは世界共通の "森を守るマーク" です

FSC森林認証制度とは、森が適切に管理されているかを第三者機関が国際的に統一された基準に沿って審査・認証するものです。違法伐採や保護するべき森林の伐採を防ぐことに効果があり、FSCのマークが入った製品を選択することは世界の森林保全を応援することに繋がります。この認証制度は国際的な取り組みであることから、ロゴの入った名刺や封筒を使用することで、世界に通用するグローバルな環境PRが可能です。

以下の10の原則と70の基準に基づき審査を受け、基準を満たしていることが認められた場合のみマークを付けることができます。

FSC® 10の原則

1.法律や国際的な取り決めを守っている
2.労働者の権利を守り、労働者と良好な関係にある
3.先住民族の伝統的な権利を尊重している
4.地域社会の権利を守り、地域社会と良好な関係にある
5.森林のもたらす多様な恵みを大切に活かして使っている
6.環境の価値を守り、悪影響を抑えている
7.森林管理を適切に計画している
8.管理計画の実施状況を定期的にチェックしている
9.保護すべき価値のある森など(HCV※)を守っている ※High Conservation Value(保護価値の高い)
10.管理活動を適切に実施している

FSCの認証を受けた製品が完成するまで

生産地の森林管理の認証であるFM(Forest Management)認証と、加工・流通過程の管理の認証であるCoC(Chain of Custody)認証に分かれています。

 

■森林管理の認証:FM認証 ※Forest Management(森林管理)
森林自体の管理を対象とした認証です。環境・社会・経済の3つの事項を柱にしています。

■加工・流通過程の管理認証:CoC認証 ※Chain of Custody(管理の連鎖)
FM認証された木材から伐り出された森林が、加工→流通の段階において、他の木材と混ざることなく、管理されているかを認証する制度です。森林から消費者までの全過程を "チェーン" でリンクするので、チェーン・オブ・カスタディー、つまり "管理の連鎖"を意味しています。

持続可能な紙利用を普及する企業との交流

FSC Global Development社 山櫻の工場を視察

2010年11月にFSCの理事会が日本で開催された際には、FSC Global Debelopment社のマネジングディレクターであるゾルタン パクシ氏が来日されました。パクシ氏は、実際にFSC認証製品が製造されている現場を視察するため、山櫻の「八王子の森工場」を訪問されました。
八王子の森工場では、FSC認証の平版や巻き取りから名刺・封筒・はがきを製造しております。原紙の搬入⇒保管⇒製品製造⇒在庫⇒流通に亘る製造の全般を視察され、現場の状況を把握されました。

「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム(CSPU)」主催 シンポジウムへの参加

2016年7月、持続可能な紙利用のためのコンソーシアム(CSPU)主催シンポジウム「サプライチェーンでの企業間連携 持続可能な紙利用の拡大を目指して」が開催されました。シンポジウムでは、CSPUや供給側企業の取り組みについての報告や、紙の原料調達に関する課題や解決策が議論されました。

山櫻の代表取締役社長 市瀬豊和をはじめ社員も参加し、環境や社会に配慮した紙を積極的に利用しようとするユーザー側の声を通して、現状の課題や今後の連携について理解を深めました。

⇒ WWFジャパン シンポジウム開催報告ページはこちら
 

FSC認証製品の広がり

2008年4月、FM認証を取得した森林は世界で79ヶ国以上、面積は日本の国土面積の2.7倍にあたる1億haを超えています。日本のCoC認証取得件数は世界第3位となり、ビジネスのあらゆるシーンでFSC認証製品を選択できるように様々な製品が登場しています。

 

山櫻はお客様のご意見をいち早く取り入れ、森林保護のために管理されたバージンパルプのFSC認証紙に注目し、環境配慮と同時に印刷適性の良い製品の製品化に取り組んでまいりました。
豊富なラインナップから、用途に合わせてご利用ください。